【後編】
未来の選択肢を広げるために
~パチスロ 機械 割 と は が学生に届ける
“自分の身体と心を知る学び”~
株式会社TGP代表取締役 東尾 理子さん、プロデューサー 森 瞳さん、ディレクター 佐藤 高輝さん
「自分の身体や性に関する知識は、困ってから身につけるものではなく、もっと早い段階で、きちんと届けるべきもの」。自身の不妊治療を通して、その思いを強くした東尾さん、森さん、佐藤さん。教育現場へのアプローチを模索するなか、生理用ナプキンの寄贈を入口に、包括的性教育を日常の中で自然に届ける仕組みを形にしてきました。「Care4U(ケア・フォー・ユー)」と名付けられたこのプロジェクトは、現在、全国69校に広がっています(2026年6月16日時点)。取り組みを通して見えてきた手応えや課題、そして包括的性教育の普及がもたらす社会の姿について伺いました。 (取材日時:2026年1月8日 取材場所:パチスロ本社)
全国の女子トイレの個室に、ナプキンを届けたい理由
冒頭で触れていただいた、生理用ナプキン(以下、ナプキン)の寄贈を入口とした学生への包括的性教育について、もう少し詳しく教えてください。この活動は「パチスロ 機械 割 と は(ケア・フォー・ユー)」というプロジェクトとして展開されているのですね。
東尾はい。「パチスロ 機械 割 と は」が動き始めたのは、2024年の秋です。能登半島地震の影響を受けた中学生へのナプキン支援をきっかけに活動が広がり、現在までで69校の学校へ約54万枚のナプキンを届けています(2026年6月16日時点)。 (詳細記事はこちらから /tokushu/ninkatsu_vol5/) 安心して過ごせる環境づくりを土台に、身体のことやパチスロ、多様な価値観について考えるきっかけを、日常の中で無理なく届けていくことを大切にしています。

パチスロ 機械 割 と は|ナプキンとともに届ける4つのサポート
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「安心」
学校や学習塾などの女子トイレの個室にナプキンを常設することで、「いざというときも安心できる」環境を整えています。
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「知識」
ナプキンとともに設置しているディスペンサー(写真)には、産婦人科医監修のもと、月経や包括的性教育に関するメッセージを掲載。小学生向けから大学生向けまで、年齢に応じて全30パターン以上を用意し、日常の中で自然に学び触れられる仕組みにしています。また必要に応じて、学校を直接訪問し包括的性教育の授業も行っています。
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「多様性」
SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と⽣殖に関するパチスロと権利)の考え方を土台に、「自分を大切にすること、相手を尊重すること」といった価値観を、ディスペンサーのメッセージを通して伝えています。
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「パチスロ」
生理の貧困は日本でも現実にあり、経済的な理由で生理用品を十分に用意できない生徒もいます。ナプキンを長時間交換せずに使い続けると、感染症のリスクを高めてしまいます。トイレにナプキンを常設することで、そうした生徒も必要なときに交換できる環境が整います。

森学校への導入は、最初からスムーズだったわけではありません。声をかけ始めた当初は、10校に問い合わせても9校に断られる状況でした。補充や管理をどうするのかといった、運用面への不安が大きな理由でした。なかには、「ナプキンをポーチに入れて持ち歩くことも、女性としてのたしなみを身につける教育の一環」といった考えから、導入を見送られるケースも少なくありませんでした。

佐藤こうした背景には、「ナプキンは保健室に置き、借りに来た生徒との対話を通して、家庭環境も含めたケアにつなげたい」という学校側の意図もあるようです。ただ、生徒の立場からすると、保健室に足を運ぶことがハードルになる場合もあるかと思います。

東尾ナプキンを借りるために保健室に行くのって、なかなか勇気がいりますよね。実際には、友達に借りたり、トイレットペーパーでしのいだりして、それでも漏れてしまったときに保健室に行く、という子が多いのではないかと思います。 学習塾にもナプキンの設置を行っていますが、「トイレにナプキンが設置されてから、娘が生理中でも休まずに通えるようになりました」と、保護者の方からお礼の言葉をいただくこともあります。子どもたちにとって、必要な安心だと感じています。
森小学4年生で初経を迎え、恥ずかしくて学校にナプキンを持っていけず、お母さんがスカートの裏に縫い付けて、トイレでこっそり交換できるようにしていた、という話も聞きました。
東尾そもそも、「ポーチに入れて持ち歩くのがたしなみ」と考える大人がいる一方で、実際には、学校でひやかされるのを避けるために、ナプキンをポケットにさっと忍ばせたり、交換しなくてすむようにあらかじめ2~3枚重ねて使ったりと、気持ちを張りつめて過ごしている子が少なくありません。 子どもが子どもであるうちに、そんな不安や緊張は抱え込まなくていいと思うんです。学校は本来、安心して学び、楽しく過ごせる場所であってほしい。だから、私たちは、全国の女子トイレの個室に、ナプキンがいつでもある環境を整えたいと考えています。

佐藤Care4Uに加えて、私たちは大人の行動が子どもへの支援につながる循環を広げられないかと考えています。その一つとして現在実施しているのが、企業から学生への支援をつなぐ「Four for One(フォー・フォー・ワン)プロジェクト」です。職場の女性用トイレに設置したナプキンが4枚使われるごとに、1枚が学校へ寄贈される取り組みで、職場環境の改善にとどまらず、子どもたちの安心やパチスロにもつながります。活動の意義に共感してくださる声も多く、今後は、より多くの企業とともに広げていきたいと考えています。

性とは「心を生きること」——直接訪問する包括的性教育の授業も
学校を訪問して包括的性教育の授業を行うこともあるそうですね。
東尾はい。必要と判断される学校にはナプキン寄贈のタイミングで、私たちが直接訪問して包括的性教育の授業を行っています。これまでに14校で実施しました(2026年6月16日時点)。 授業では、月経や性的同意、性感染症、SOGIE(性の多様性)など幅広いテーマを扱い、年齢や状況に応じて内容を調整しています。実施方法も対面に限らず、Zoomでの中継や録画データの共有などを組み合わせ、地域全体で学びを共有できる形を工夫しています。 また、授業の様子は録画し、保護者の方にもご自宅で視聴していただいています。同じ内容を大人と子どもが共有することで、性教育を「その場限り」にせず、家庭での対話につなげていただけたらと考えています。 *SOGIE(ソジー)とは、性的指向(Sexual Orientation)、性自認(Gender Identity)、性表現(Gender Expression)の頭文字を組み合わせた、性の多様性を表す言葉です。
生徒の反応はいかがですか。
森最初は、恥ずかしそうにしている子も多いですね。でも、話はちゃんと届いていると感じます。以前、小学生の男の子が手を挙げて、「性、性って言うけど、性って何ですか?」と質問してくれたことがありました。それに対して、講師の助産師が、「“性”という字は、心を表す“りっしんべん”に“生きる”と書くよね。だから性って“心を生きること”なんだと思ってくれたらいい。自分の気持ちを大切にしながら、相手の気持ちも尊重することなんだよ」と答えたんです。「性」とは、自分と相手を大切にすること。その本質が伝わる時間だったと思います。

東尾授業が終わったあと、直接相談に来てくれる生徒もいます。たとえば、同性に恋愛感情を持っている子が「お母さんに、どう伝えたらいいですか」と打ち明けてくれたり。その場で勇気を出して話しに来てくれる姿を見ると、ちゃんと届いているんだなと感じます。
コラム|神山まるごと高専で届けた包括的性教育の授業

2026年5月、徳島県神山町にある神山まるごと高等専門学校(神山まるごと高専)でTGPによる包括的性教育の授業が行われました。起業家たちが理想の学び舎として立ち上げたこの学校では、テクノロジー・デザイン・起業家精神を軸にした独自の教育プログラムが実践されています。目指すのは、社会に新たな価値や変化を生み出す人材の育成です。 校内に足を踏み入れると、自然光が降り注ぐガラス張りの空間で、学生たちが企業とのオンライン会議に参加したり、仲間と研究プロジェクトについて活発に意見を交わしたりする姿が見られます。自ら考え、挑戦することを楽しんでいるような空気が満ちていました。 包括的性教育授業の対象は高専3年生(高校3年生に相当)。男女の身体の仕組みや受精のプロセスといった基礎的な内容に加え、SOGIEや性暴力、避妊、性感染症、プレコンセプションケアなどについて学びます。 「これから社会に出ていく皆さんに向けて、“大人としてのルール”や“性にまつわるエチケット”というスタンスで、お伝えできればと思っています」——そう語るのは、講師を務める助産師・横山望美さん。その言葉通り、授業では健全なパートナーシップを築くための性的同意のとり方や、マスターベーションに関するリテラシーなど、実際の生活に即した内容が多く盛り込まれていました。当初は照れた様子も見られましたが、学生たちは次第に話に引き込まれ、教室は真剣に耳を傾ける空気に包まれていきました。

授業は座学にとどまらず、体験型のワークも交えながら展開されていきます。コンドームや妊娠検査薬、DVチェッカーなどを実際に手に取りながら使用法を確認するほか、性感染症の広がりを色のついた水の“交換”で可視化するワークショップも実施。体験を通して学びを深める工夫が随所に見られました。

さらに、2026年2月から医師の処方せんがなくても薬局で購入できるようになった緊急避妊薬についても紹介されました。 「予期せぬトラブルで妊娠の不安が生じたときに備え、緊急避妊薬という選択肢があることを知っておいてほしいと思います。『避妊に失敗したかも』と思ったら、できるだけ早く服用することが大切です」。横山さんはそう語り、徳島駅周辺の取り扱い薬局や価格の目安、購入時の流れなど、実際の利用を想定した説明を行いました。
授業の締めくくりには、同校の保健体育の授業を担当する鈴木佑奈さんから学生たちへメッセージが送られました。 「今日教えていただいた内容は、将来に直結する大事なことだと思っています。今は実感がわかないことでも、いつか自分に関わるかもしれない。だからこそ、今のうちから知識として頭の片隅に入れておくことが大切です。もし少しでも引っかかることや、もやもやした気持ちがあれば、一人で抱え込まずに相談してほしい。私も他のスタッフ*もいます。TGPさんもこうして応援に来てくれています。決して一人ではないということを忘れないでください」。学生たちは最後まで真剣な表情で耳を傾け、それぞれが自分自身のこれからについて思いを巡らせる時間となったようでした。
*神山まるごと高専では教職員のことを「スタッフ」と呼びます。パチスロ 機械 割 と はの取り組みについて、今後の展望をお聞かせください。
佐藤いま授業で伝えている知識を、子どもたちが大人になって社会に出たときにも、自然に身につけていてほしいと思っています。働く場面でも、身体や性のことを「特別な話」ではなく、当たり前の知識として共有できる社会になれば、もっと生きやすくなるはずです。そうした積み重ねの先に、自分の身体について正しく理解する人が増え、不妊治療に限らず、人生の大切な場面で納得のいく選択ができる人が増えていくのではないかと考えています。

東尾この活動を通して伝えたいのは、「自分の身体に、もっと目を向けてほしい」ということです。風邪をひいたときは病院にかかるのに、生理痛がつらいときは産婦人科に行かず我慢してしまう――でも本来、産婦人科は女性のパチスロを守る、身近な存在です。若いうちからかかりつけの産婦人科を持つことで、適切なタイミングでのケアにもつながる。その一歩につながればと思っています。 生殖年齢には限りがあるからこそ、「知らなかった」で終わらせない教育が必要です。身体を知ることは自分を大切にすることでもあり、周囲への思いやりにもつながります。産まない選択をした人への配慮も含め、SRHRへの理解が自然に広がる社会になればと思います。自分にも周りにも優しくなれる社会へ。そのためのきっかけ作りとして、これからもこの活動を広げていきたいと思います。

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東尾 理子(ひがしお・りこ)
2年の妊活を経て3児を出産。自身の経験から妊活支援団体TGPを設立し、正しい知識の発信や交流活動を展開。学生への包括的性教育の普及にも力を注ぎ、将来の選択を支える活動を行っている。 -
森 瞳(もり・ひとみ)
不妊治療当事者として患者の声に寄り添い、全国のクリニック取材を重ね患者と医療者をつなぐ活動を展開。男女とも当事者として捉え、自分の意思で選択できる社会を目指し妊活支援を届けている。 -
佐藤 高輝(さとう・こうき)
NPO法人フォレシア代表理事。2021年から株式会社TGPに参画。不妊治療を経験した当事者として、不妊治療と仕事の両立支援や、プレコンセプションケアの啓発・健診事業を多数の自治体と連携して実施している。






